私が目を見開いてモートンを見つめていると彼は微笑みながら言葉を続けた。
「いつもは、研究する時に余計なものが視界に入らずに済むので前髪を下ろしているのですが
闇と戦うとなると、少し邪魔なので。魔力を使う時はいつも髪を上げるんです。」
そ、そうなんだ…!
まさか、ふわふわの長い前髪に隠れた素顔がこんなに整っていたなんて思わなかった。
私はモートンに向かって頭を下げながら口を開く。
「助けてくれて、ありがとうございます…!
あの、どうしてここに…?」
モートンは、私を見つめながら答えた。
「僕はレイ君に頼まれて来たんです。
レイ君が酒場を留守にする間、ルミナさんを守るように、と。」
レイが…?
私は、その時、はっ!とした。
レイが言っていた“事前作”って、モートンのことだったんだ…!
すると、モートンが酒場の扉に手をかけて言った。
「また、ダウトが攻めてくるかもしれません。
酒場の周りに闇避けの魔方陣を張ります。僕と一緒に、レイ君達の帰りを待ちましょう。」
…!
「はい…!ありがとうございます!」
モートンは、私に優しく微笑みかけると
自身の魔力で酒場を包み込んだ。
淡い光が辺りに広がる。
じっ、と魔方陣を見つめていると
隣に立ったモートンが優しく言った。
「…レイ君は、きっと大丈夫ですよ。
ルオン君のことも、心配しないでください。レイ君は、彼の命を奪ったりはしないでしょうから。」
「…!」
…そっか…。
レイは、エンプティと決着をつけに行ったんじゃない。
“ルオン”を、助けに行ったんだ。
私は、モートンの言葉に頷いて
彼の一緒に酒場の中へと入った。
…大丈夫。
きっと、レイもロディも無事で帰ってくる。
私は、そう心の中で呟いて
同じ空の下のどこかにいる二人に思いを寄せたのだった。



