すると、それを聞いたレイは、ぴくり、と肩を震わせた。


そして、ゆらり、と、私を見て口を開く。



「ルミナ、こいつに会うために出かけていったのか…?」



っ!


その声はいつもの何倍も低い。


私は、動揺しながらレイに答える。



「ルオンに聞きたいことがあって来たの…!

パーティーで初めて会って、まさかレイの弟だったとは思わなかったけど…」



すると、レイは「パーティーだと…?」
と、ドスの効いた声を出した。



びくり、として言葉を詰まらせると

ルオンが、ぱっ、と私の肩を抱いた。



えっ!?



驚く私をよそに

ルオンはレイに向かって口を開く。



「そ、僕たち“友達”になったから。

どっかの“銀髪野郎”より、よっぽど仲良しだし。ね?ルミナ。」


「え?えっと……」



優しく私に笑いかけるルオンに、何て言えばいいのか分からずうろたえる。



どこか挑戦的なルオンの態度に

レイは、さらに不機嫌な顔をした。



そして、ばっ!と私の腕を掴む。



そのまま、ぐっ!と引き寄せられた私は

レイの胸にぽすん!と飛び込んだ。



え?

えっ?!


いきなりのことに全身の体温が急上昇する。


体をこわばらせていると、頭上からレイの低い声が聞こえた。



「ルミナに軽々しく触んな。

言っとくけどな、俺はルミナと友達以上の関係だから。な?ルミナ。」



「えっ?!えっと…」



“友達以上の関係”って…?!

確かに友達ではないけど…っ!


その時、ぎゅっ、とレイの腕が私の背中に回った。


どくん!と、胸が大きく鳴る。


レイの腕の感触に、何も考えられなくなる。



れ…レイ、何を……っ?!



私が呼吸さえ出来ないほどに緊張していると頭上からレイの声が聞こえた。



「ルミナには手ぇ出すな。

…次、勝手にルミナを口説いたりしたら、俺は本気で許さないからな。」



…っ!



レイは、ルオンにそう言い放つと

ぱっ、と離れて私の腕を掴んだまま歩き出した。



「え、レイ?!」


「行くぞ、ルミナ。」



レイは、スタスタと歩いて行く。


足を止めることはない。



後ろからはルオンのくすくすと笑う声が聞こえたが、私は振り向くことも出来ず

私の手を引いて歩くレイが、どんな顔をしているのかも見えなかった。