闇喰いに魔法のキス




俺は、視線で魔方陣を指しながら静かに答えた。



「これは、俺の魔力を込めた呪符です。

ガロアさんがこの魔方陣に念じれば、一瞬で俺をここに連れてくることが出来ます。

居場所だって、魔力を辿らなくてもすぐ分かる。」



俺は、二人の顔を見ながら続けた。



「自分から正体を明かした以上、俺はもう、逃げも隠れもしない。

ルミナを守ってダウトとの決着が着いたら、俺は大人しく捕まります。」



すると、ガロア警部が低い声で口を開いた。



「この呪符は、信用されるための“担保”で…

“今は見逃せ”と、そう言いたいのか…?」



俺は、無言で頷いた。


険しい顔をするタリズマンの二人は、引く様子を見せない。


ミラさんが、俺に向かって冷静な声で言った。



「…悪いけど、許可は出来ないわ。

あなたは、ブラックリストに載っている指名手配犯なのよ?」



ガロア警部が、ミラさんに続けて言った。


「…“悪は悪”。いくら知り合いといえど、これが俺の信念なんだ。

あんたに、複雑な事情があることは察する。…だが、見逃すわけにはいかない。」



……。

…“信念”、か…。


俺は、小さく目を細めると

顔を微かに伏せて呟いた。



「…なら、仕方ないな。」


「「!」」



部屋の空気が変わった、次の瞬間

俺は再び大きく魔力を放出した。



ガタガタガタッ!!



窓が激しく震え、音を立てる。



俺は、一気に戦闘態勢になったタリズマンに向かって言い放った。



「悪いけど、こっちも信念曲げるわけにはいかないんだ。」



パリーン!!



俺の放出した魔力に耐えかねた窓が、本部を覆っていた魔法陣ごと粉々に割れる。


窓を破壊するほどの魔力に、タリズマンの二人は信じられない、といった目つきで俺を見る。


俺は、薔薇色の瞳を輝かせ

窓枠に足をかけて彼らに叫んだ。



「俺は、ダウトをぶっ倒すまでは捕まるわけにはいかない。

守りたいモンの為なら、いくらこの手が汚れたって構わない…!」



ガロア警部と、ミラさんが

はっ、として俺を見つめた。


俺は、最上階の窓の外に広がる曇天に向かって、ガッ!と窓枠を蹴り

本部の外へと飛び降りた。



「っ!!待て………!」



ミラさんが窓から身を乗り出して下を見た瞬間

俺の体は魔法の光で包まれた。




《レイside終》