そして、三人は箱の中を見て

ぱちくり、とまばたきをする。



「なんだ?この“小瓶”。」



レイが、そう呟いて箱の中身を手に取った。


それは、何も入っていない透明な手のひらサイズの“小瓶”だった。

ラベルが貼ってあるわけでもなく、箱の中に他には何も入っていない。


…?


…コレだけ?

一体、これは何…?


すると、レイが、はぁ、とため息をつきながら呆れたように言った。



「モートンの奴、薬か何かを入れ忘れたのか?

ほんっとにバカだな、あのジジイは…!ココアの粉詰めて、送り返してやる。」



れ…レイってば…。


私は、レイの言葉を聞いてほっ、と安心し、苦笑する。



…よかった。

変なものが届いたのかと思った。



モートンからの贈り物だったんだ?

そういえば、この前もレイ宛に荷物が届いていたもんね。



レイはそのまま小瓶の蓋をゆっくりと開ける。



キュ…、と小瓶の溝を蓋が滑った

その時だった。



「!!」



レイがポーカーフェイスを急に崩し、大きく目を見開いた。



え?



私とロディがレイの異変に気付いた瞬間

蓋の開いた小瓶から、真っ黒な煙が立ち上った。



?!



私が、はっ!とその光景に目を奪われると

レイが聞いたこともないような緊迫した声で叫んだ。



「ルミナ!目ぇ閉じてろ!!」



っ?!


私は、レイの声に反射的に目をつぶった。


と、次の瞬間

ブワッ!!と目の前で何かが光り輝いたような気がした。


まぶたの向こう側で何が起こっているのか分からないまま

私はぎゅっ、と目を閉じ続ける。



その時、パリン!と、小さくガラスが割れるような音が聞こえた。



そして、しぃん…、と静まり返る酒場。



数十秒後、私は恐る恐る目を開ける。



すると、私の目に、カウンターの上の粉々に砕け散った小瓶の欠片が映った。



レイは、少し荒く呼吸をしている。



…!

な…何が起こったの……?



ちらり、と隣を見ると

ロディは険しい顔をしたままレイと小瓶の欠片を見つめていた。



ロディは何が起こったのかを見ていたの…?