****
「ただいま。」
私はルオンと別れた後
悶々と一人で頭を悩ませながら酒場へと帰ってきた。
キィ…、と扉を開けて酒場へと入ると、カウンターからレイが身を乗り出す。
…?
レイの険しい表情に、私は恐る恐る尋ねた。
「…レイ?どうしたの?」
すると、レイは、つかつか、と私に歩み寄りガッ!と肩を掴んだ。
驚いてびくっ!と体を震わせると
レイは私の顔を覗き込みながら言った。
「ルミナ、痛いとこないか?怪我してないだろうな?
さっき、闇の魔力を感じたんだ。ダウトに絡まれたりしなかったか?」
え、え?
私は、私の腕などを確認しているレイに向かって答えた。
「大丈夫だよ。
黒マントに会ったけど、怪我とかはしてないから。」
レイは、それを聞いて黙り込む。
じぃっ…、と顔を見つめられて、私は急に緊張してきた。
…レイは、闇の魔力を感じることができるの?
初めて知った…。
だって、酒場から離れた場所で襲われたのにレイが闇の魔力を感じられるなんて思いもしなかったし。
レイは、安心したように、ふぅ、と小さく呼吸をすると
私から買い物袋を取り上げて口を開いた。
「…怪我ないならいい。
次からは、買い出し以外の仕事を頼む。」
…!
私を、危険にさらさないため…?
レイは、カウンターに戻りながら言葉を続けた。
「まぁ、プライベートにまで口出す気はねぇから、どこでも好きな所に出かけていい。
だけど、なんかあったらすぐに俺を呼べよ。どこだって行ってやるから。」
え?
レイが…?
私が呼んだら、すぐに駆けつけてくれるの…?
それは、ギルに私のことを頼まれているから?
同居してるから、保護者感覚で言ってくれてるのかな?
…それとも……
私が、レイの言葉に頬を赤らめると
レイは、はっ!として、慌てて言った。
「…今のは忘れろ。
お前が呼ぶのは、“ギル”だ。俺のことは呼ぶな。いちいちお前の世話焼くのは面倒だ」
っ!
…“面倒”……ですよね。
私は少しがっかりして、カウンターに戻りグラスを拭き始めたレイを見つめた。
…って、なんだ、“がっかり”って…!
私は、レイに何を期待してたんだろう。
どんどん心の中に感じたことのない想いが溢れてくる。
二人して黙り込むと、酒場になんとも言えない気まずい空気が流れ始めた。
…う…。
だ、だめだ。
やっぱり、今まで通りに気軽に話せない。
私が、レイから視線をそらしソファに座った
その時だった。



