っ!


レイの言葉に、心臓の鼓動が速くなる。



…“聞きたいこと”…。



私が“ギルなのか”と聞いたら、きっとレイはまた否定する。



もう、直接“あれ”を言ってみるしかない…!



私は、覚悟を決めて

カウンターのレイへと歩み寄った。



レイの感情は読み取れないが、彼もどこか緊張しているような気がする。



…どくん、どくん…。



必死で胸を落ち着かせて

私はレイに向かって口を開いた。




「…レイ…あの、お願いがあるの。」



「“お願い”?…何でも言えよ。」




私は、深呼吸をして戸惑いや迷いを捨てる。



…どう思われたって、いい。

レイを信じるためにも、確かめなければいけないんだ。



長い沈黙の後

私は、ごくり、と喉を鳴らして、レイに向かって言い放った。





「服、脱いでくれない…?!」




「…………………………え?」




と、次の瞬間

酒場の空気が一気に変わった。



レイは私の言葉が予想外だったようで

意味を理解できなかったように、ぱちり、とまばたきをして私を見つめた。



私はレイの視線に急に動揺して、口を滑らせる。




「レイの体が見たいの…!」




その瞬間

私は自分で言った言葉に戦慄した。






色々間違えた。



かぁっ!と顔が赤くなるレイ。

目を見開くロディ。

後に引けない私。



異様な雰囲気の沈黙の後

レイが私の言葉を理解してひどく取り乱しながら言った。



「な…何言ってんだ…?!

確かに、何でも言えよって言ったけどな……ルミナ、お前昨日から変だぞ!!」




“昨日から変”


少し心にグサッ!と来たが、もう引き下がるわけにはいかない。


私は、ばっ!と頭を下げて頼み込んだ。



「変な意味じゃないの!ちょっと確認したいことがあるだけ…!

上だけでいいから、お願い…っ!」



すごい発言をしてることは自分でも分かってる。


他に方法はなかったのかと今さらながらに考えたが、もう遅い。



レイは、動揺して私を見つめていたが

やがて、はっ!と何かに気づいたように呼吸をした。



そして、急に冷静になったように胸に手を当てる。



……お……怒ったかな…?



恐る恐る顔を上げると、レイの綺麗な瞳と目が合った。



レイは少し顔を伏せて

やがて、はぁ、と息を吐いた。



「レイ……あ…あの…。」



私が躊躇しながら声をかけようとすると

レイの長い指が、すっ、とベストのボタンにかかった。



…プツ。



え…?



私が目を見開くと、レイは慣れた手つきでボタンを外し、ベストを脱いだ。



そして、ネクタイに手がかかる。



…シュル…



ネクタイが緩められ、シャツの襟元から覗いた鎖骨に目が奪われた時

レイが少し色香を帯びた声で私に言った。



「…なんだよ。今さら緊張してんの?

ルミナが脱げって言ったんだろ…?」



どきん…!



急にいつもの調子に戻ったレイに、私は翻弄されて口ごもる。



た…確かに私が言い出したことだけど…!



レイは、小さく呼吸をすると

そのままシャツのボタンに手をかけた。