扉の軋む音と共に、扉の向こう側の世界がひらける。

一歩足を踏み出し中へ入ると、カウンターに立つ一人の青年と目が合った。


綺麗な銀髪。

海を閉じ込めた宝石のような碧色の瞳。


わ……かっこいい…。


整った顔立ちに、つい見惚れていると、バタンと自然に酒場の扉が閉まった。


私を見た青年は大きく目を見開いて固まっている。


なんか、見られてる……?


すると、青年が持って拭いていたグラスが彼の手から滑り落ち、パリーン!とグラスの割れた音が酒場に響いた。


その音に震えた私を見て、青年が、はっ!としたように息を吐いた。

そして数秒見つめ合い、青年が小さく口を開く。


「ここは酒場だ。十七のガキが来るところじゃねぇぞ」


……え?


私は、その言葉に驚いて青年に尋ねる。


「どうして私の歳を知っているんですか?あなたと会うのは初めてなのに……」


ピタリと私の年齢を言い当てるなんて驚いた。

すると、青年は少し動揺したようにまばたきをしたが、すぐに冷静な顔をして答えた。


「……別に、勘で言っただけだ。お前はどう見ても酒を飲む歳には見えないからな」


なるほど。たしかに、私のは年相応の子どもらしい顔つきだ。

そうだよね。

私とこの人は、初対面のはずだもん。