サンクヘレナ

それは、魔法使いと人間が共に住む国。

魔法使いと人間は共に助け合い、命を繋いで
はるか昔からこの国を繁栄させてきた。


サンクヘレナに住む魔法使いには、二つの種類がある。


一つは、“光”。


一般的な魔法使いに対する呼び名で、魔力を正しいことのみに使い、他人を操る魔法や攻撃する魔法を“禁忌”としている。


そして、もう一つは…“闇”。


私利私欲の為に魔力を使い、人をだまし傷つける。そして、最もタチの悪い者は相手の命を奪う闇魔法を使う。


光は、そんな闇に対抗するために優れた魔力を持つ者を集め、国の警察部隊タリズマンをつくった。

タリズマンは闇に対してのみ攻撃魔法を使うことが許され、闇の魔力を奪うことで闇たちから国の平和を守ってきた。



しかし……

そんな光と闇の戦いの中に、ある時、一人の男が現れた。


それは、自らも闇でありながら、狙う対象は闇のみという魔法使い。


その男は、自然界において仲間を食べる習性“共喰い”になぞられてこう呼ばれた。


“闇喰い”、と。



この話の始まりは
そんな一人の闇喰いと
闇に追われる少女が出会う

少し前にさかのぼる────…。