君が好きだと叫びたい

「なぁ、ミノリ。」


真っ直ぐに前を向いたまま、タクヤが言葉を紡ぐ。

「俺がお前のこと好きだって言ったら、驚くか?」


「えっ、」


数秒間の沈黙の後、潮風に乗せて答えを返す。


「あははっ。今の私だったら、真に受けちゃうよ。」

「良いぞ、真に受けても。」

真剣な顔付きでコッチを見たかと思えば、今度は優しい笑みを浮かべていて。


「お前と離れてから気付いたんだ。側にいて自然だと思っていたけれど、会えなくなればなるほど、ミノリが俺にとってどれだけ大切な存在だったかってことが。だから、付き合って欲しい。」


バクバクと大きく跳ねる心臓の音が、鼓膜を揺らす。


夕陽に潤む瞳が、熱い気持ちを伝えてくる。


「ミノリ、好きだ。」


世間一般の男性の中には、こういうシチュエーションで身体を引き寄せて、押し倒してくる人だっているんでしょう?

けれど、タクトは違う。


一定の距離を保ちながら、慎重に私の意志を尊重してくれている。


そんな彼だから。

私は、貴方のことが好きになったんだ。


「だったら、私の気持ちも聞いて欲しい。」


貴方の側に居たいって思う。


勇気を出して想いを伝えるよ。


気付いてしまった、誰にも譲れないこの強い気持ちを。


本当の自分を晒け出せる、貴方に。


「私も、タクトと一緒に笑っていたいって。高校卒業してから、ずっと思ってた。....大好きだよ、タクト。私と付き合ってください。」