巴が次に変わったのは黒い毛玉の狗だった。
これなら、2人にも何とか言えば買っても
大丈夫だろうか…
そう悩みながらも、これ以上巴にも
迷惑をかけるのは嫌だと思い、
私はそのままの巴を家につれて帰った
「ただいま帰りました」
「おかえりなさい紫苑さん…あらあら、どうしたのその子犬」
「えっと…さっき拾ってしまって…
買っても…いいですか?」
「いいに決まってるじゃない!
子犬が食べられそうなのあったかしらね」
美咲さんは楽しそうに台所に戻り、
裕一さんは私の頭を撫でてから
戻っていった。
とりあえず、巴を私の部屋に連れて行き
祖父の遺品の中から扇を探した。
「ちょっとまて」
「え?」
「扇はまだ返さなくていい」
「どうして…」
「お前が倒れたとき、全て貰うことにする」

