あたしは無意識のうちに体育館に足を進 めていた。 ゴール下の体育館の入り口に立った時、見えたのは。 隼斗と冬馬のキレイな連携パス。 女子たちを見なくても、彼女らが誰を見ているのかはすぐにわかった。 2人がパスを出し合いながら、こっちへ近づいてくる。 そして─── パサッ どこに当たることもなく、キレイにシュートが決まった。 隼斗が打ったボールが。 1秒遅れて、大歓声が起こる。 でもそんなの聞こえないくらい、あたしの心臓がうるさい。 他の何も聞こえず、他の何も見えなくなっていった。