高橋隼斗くんがあたしの後ろに向かって歩いてくる途中、彼がなにかを見て顔をしかめた。 その方向を見てみると、教室の真ん中の席の、冬馬……? いや、気のせいか。 「よろしく。吉沢さん」 いつの間にか自分の席、あたしの後ろに座った高橋隼斗くんが声をかけてきた。 近くで見るとほんとに……なんていうか、キレイ。 「あの……」 「あ、ごめん!あたし吉沢梨佳。 梨佳でいいよ」 またあたしは人の顔をまじまじと……。 失礼極まりないな。