教室に戻ると、仲間の吉野 聖(よしの ひじり)が隣に来た。

「また仕事か?」

「そうだ、今回は久々に楽しい任務だった」

私に来る依頼はいつも、ライバルの悪い噂を流すとか、略奪された彼氏と元通りになるとか、高校生らしくない内容ばっかりだ。

だから引っ込み思案な依頼人が、両想いになる手伝いをしてほしいといって来た時は、すぐに引き受けた。たまにはこういう任務があってもいいと思う。

ずっとこの状態が続くのは退屈だがな。

「そんなこと続けてたらいつか事件に巻き込まれるぞ。お前はいつになったら落ち着くんだ」

「吉野はいつもそんなことを言う。何かあっても気付かないほど鈍い人間だと思っているのか?」

吉野はあきれて帰っていく。まったく、皆分かっていない。

私は影飛脚だぞ。どんな任務だって完遂してみせる。