リア充競争で上位にいるため常に誰かと行動する民衆の中、私は一人で行動する。誰にも注目されていない時を見計らって、下駄箱に手紙を滑り込ませた。そして、その後すぐに撤退する。

目標が下駄箱に近づき、手紙を発見した。驚いていたが、周囲の人々を集め手紙を開けた。周囲の人々は手紙を覗き込み、内容を楽しみにしている。

手紙を開けて、目標だけが周囲を見回し一人の少女を見つめる。その後、すぐに目を逸らし手紙を鞄に押し込んだ。
足早に去っていく目標に、手紙を見た人々はどうしたんだと聞いて後を追う。

「これで、ほぼ任務は完了したようなものか……いや、慢心してはいけないな。もう少し観察するとしよう」

誰にも聞こえない声で呟いた後、オペラグラスを仕舞い教室に戻った。