帰宅してから、依頼人が正体を広めてしまわないか心配になった。絶対に私を恨んでいるだろう。
何か対策を考えようと思ったが、疲れたのでやめてしまった。

朝、普通に登校していると、目の前に知らない女子が立ち塞がる。

「おはよう」

「おはよう……?誰?」

ニヤニヤと笑うこいつはいいやつではない、ということだけしかわからない。

「私は情報屋の関東 三名(かんとう みな)。影飛脚のあんたに勝負を挑みに来たの」

「……何のこと?」

聞いたのか……それとも調べたのか……とにかく誤魔化さなければいけない。

「人違いじゃない?」

「諦めなさい。前から怪しいとは思っていたけど……あんたのとこの依頼人が教えてくれたのよ」

よりにもよって情報屋に知られてしまった。これは……影飛脚廃業の危機だ。