夢殺し

「貴之も、今日も夢を見たんでしょう?
どんな夢だった?」

「ふわふわした空間にいて、あー夢だなーと思って、目が覚めた」

「何それ」

「知るか」


そう言って、僕は自分の席に着いた。


「よっ、おはよー!岡村(オカムラ)。
今日も眠そうだなー」


一年のときから同じクラスの、恵比寿義樹(エビスヨシキ)が僕に挨拶してきた。


「おはよう。今日も寝不足だ」

「何やってたんだ?」

「何もしてない」

「何もしてないのに寝不足なのか?」

「ああ、そうだ。
寝付けなかったからな」

「本当は、川澄さんと何か楽しいことでもあったりしたんじゃないのか?」

「冷やかすな。僕と水鳥はそういう関係じゃない。
ただの幼馴染だ」

「ほら、川澄さんのことを水鳥って下の名前で呼んでるじゃないか~!
あ~、羨ましいなあ幼馴染ってのは」