夢殺し

「他に、手掛かりは?

さっきから貴之は被害者の男のことばかり話してくれるけど、重要なのは犯人のほうよ。

犯人さえ取り押さえれば、殺人は未然に防ぐことができるわけだし」

「あ…そうか」


水鳥に言われて気付いた。

そうだ、僕は被害者の殺された男ばかり気にしていたけれど、水鳥の言う通り、犯人を止めることができれば、男は殺されずに済む。


「えっと、確か……一人称は“俺”だったよ」

「なるほど……つまり、犯人が貴之である可能性はないってことね。
貴之の一人称は“僕”だし」


メモしながら、水鳥は冗談っぽく言った。

「おいおい、僕のことを疑っていたのかよ?」

「あら、小説なんかじゃあ、貴之みたいな人が意外と犯人だったりするのよ。

一人称が俺ってことは、犯人はおそらく男ね」

「“おそらく”?」

「女だって、自分のことを“俺”という人は少なからずいるわ。
だから、“おそらく”よ」

「確かに、夢の中じゃあ僕が男だったか女だったか、よくわからないし……。
女の可能性もあるか……」