「……そう。

確かに、貴之はそういう人を放っておけない性質だったわね。
すっかり忘れていたわ。

小学生の時も、男子からいじめられていた私を、助けてくれたものね」


懐かしそうに、水鳥は呟いた。

水鳥の言う通り、僕は小学生の頃、いじめられていた水鳥を助けたことがある。


「わかったわ。

私も協力する。
私も“凶夢”という予知夢を見ることができるから、何か力になるかもしれないわ」

「ありがとう。

でも、なるべく水鳥には夢を見てほしくないかな。

だって、水鳥は凶夢しか見ないじゃないか。
それって、よくない出来事を予知するんだろ?」

「……そうだったわね」


今まで忘れていたかのような水鳥。


「忘れてやんの」

「いいじゃない。
凶夢を見ることで、そのよくないことを回避できるかもしれないわ」

「できた試しは?」

「…今まで十六年間生きてきて一度もないわ」