「失礼します」

水鳥が、保健室の扉をノックした。


「あら、川澄さん。
どうかしたのかしら?」

「岡村君が、具合悪そうなので……」

「まあ、本当。
顔色がずいぶん良くないわ。

とりあえずベッドで横になって、あとこれをワキに挟んで」


そう言って、保健の先生は、僕に体温計を渡した。
僕は、受け取った体温計を自分のワキに挟み、ベッドに倒れこむようにして寝転んだ。


「しばらく、ここで休んでいるといいわ。

もうすぐ授業が始まるから、川澄さんは教室に戻ってなさい」

「はい、わかりました。

次の休憩時間、来るからね。
それまでゆっくり休んでいてね、貴之」


水鳥はそう言うと、保健室から出て行った。