僕は、今朝見た夢のことを、水鳥に話した。


「なるほどね……。

それって、ただの明晰夢じゃないんじゃないかしら?
たとえば、そう………予知夢とか正夢とか」

「予知夢って……これから起こることが、夢に出てきたってことか?」

「あくまで予想だけれどね。
でも、それだけの情報じゃあ、誰の身に何が起こる夢なのか、さっぱりわからないわ。

何か、手掛かりはないの?

その夢の中の貴之が入っていった家の外装や内装、部屋、夢の中の貴之の声……」

「それが、あまり記憶になくて」


夢の中で、僕が僕ではないことにあまりに驚いてしまったため、夢の中の僕の声は、あまり覚えていない。


「そう……。

でも、自分から聞こえる自分の声と、他人に聞こえる自分の声は違うというから、声質で誰か見分けるのは難しそうね。

喋るときのクセとか、口調のほうをもっと意識したほうがいいかもしれないわ。

まあ、実際に予知夢だと決まったわけではないから、あまり気にしないほうがいいわよ。

気にしすぎると、私みたいにどんなよくないことが起こるのか、ビクビクしてしまうから」