目の前にふわふわとしたはっきりとしない空間が広がっている。

体も何だか軽い。


ああ、これは多分…夢だ。


僕は、自分の頬をつねってみる。


うん、痛くない。


やっぱり、これは夢だ。


ブーブーという携帯のバイブ音が鳴り、僕はそこで目が覚めた。


「ふあー」


と、僕は情けないあくびをする。


僕は毎日夢を見る。
そして、僕が見るのは、決まって“明晰夢”だ。

夢を夢だと自覚している夢、それが明晰夢。

この体質のお陰で、あまり寝た気がしない。


だけど、夢を夢だと自覚している分、ある程度夢の中で自由に行動できるので、それに関してはちょっと得しているかもしれない。