呆れるほど恋してる。




順の開催する個展は六本木にあるタワービルの最上階で開催されるそうだ。


夕方、せりは六本木駅から地上に上がって西に沈む太陽を尻目に一人で歩いていた。


ヨーロッパで有名な賞を受賞したらしい順の作品は、朝のニュースで放送されていた。


彼が送った招待状は、関係者だけを呼ぶ集まりとのことで彼女は彼から貰ったワンピースに袖を通した。


三山からも「順ちゃんかえってくるって!」と連絡をもらい、ビンタをかますのよ!と意気込む三山に「本当ですね」と笑いながら言葉を返す。


会場に到着して深呼吸をする。


この中に順がいると思うと、緊張した。


エレベーターをあがって、会場に向かい、おかしくないかと、途中化粧室に立ち寄り全身を確認する。


新しくおろしたての靴を履いて、彼に会いに行く。


会場に入るとたくさんの人が彼の作品を見ていた。


今朝ニュースでやっていた目玉の写真には、たくさんの人が群がっている。


業界内でも有名な人たちばかりだ。


「あ!せりちゃん!」


礼子がせりを見つけて駆け寄ってきてくれた。


「あ、お久しぶりです」


「よかったわね。早く帰ってきてくれて」


事情を知っている彼女は優しく微笑んでせりに言った。


「ありがとうございます……」


「彼なら、あっちに三山さんといるわよ」


指を指された方向に顔を向けると、そこには懐かしく、ずっと会いたかった人物がそこに立っていた。