―――――――――… ――――――… 『菜月』 誰かの声がする。 懐かしいのに、その声を聞けば、 泣きそうなぐらいに胸が苦しい。 『菜月、ごめん』 『………』 靄(モヤ)のかかったその夢は、 どう頑張ってもただの夢でしか無いのに。 ―――…嗚呼、どうして。 どうして、私はこの声に 泣きそうになるんだろう―――…? どうして、こんなに 息が出来ないんだろう―――…?