人魚姫の願い

そして、審判が告げる。

「よーい‥パン!!」

いっせいに選手達が走りだした。

美凪はふと気になったことを尋ねてみた。

「ねぇ、3000メートルて何周なの?」

「15周だよ。でも最近、須崎先輩スランプ気味でさいつも3000走っても途中で失速してタイムが遅くなってるんだって。」

「そ‥そうなんだ‥。」

須崎先輩、そんなに走って大丈夫なんですか?心配です。
美凪は無意識のうちに心の中で語りかけていた。

智未の言葉にはまだ続きがあった。

「美凪見てみて。3000メートル走ってる人、ほとんどが陸上部だよ。中には他の部の人もいるけどね。その中で走らされると、プレッシャーにもなるよね。」

「う‥うん。」

美凪はそれしか言えなくなっていた。


8周目をすぎたぐらいから須崎先輩が集団から遅れだした。徐々に集団から突き放されていく。

「ヤバイよ。先輩、突き放されてる。」

智未がつぶやく。

12周目になってくると先頭との距離は半周ぐらいに広がっていた。
先頭は3人の選手がいてデットヒートが繰り広げられていた。

「もう、だめかな。」

また智未がポツリと呟く。

須崎先輩がテントのある方向まで走ってきた時、美凪は我を忘れて叫んでいた。

「須崎先輩!諦めないでください!!まだ、終わってないですよ!!可能性は十分にありますよ!!」

「先輩!!あと3周です!頑張ってください!」

智未も負けじと声をかけた。

須崎先輩は美凪達の声を聞きほほえんだかと思うと、急にギアをあげた。