気づけば、5階に到着していて、約束した場所までもうすぐそこになった。
3052と書かれた教室の、扉の前に立つ私。
その隣の部屋からは、扉がなぜか少しだけ開いているみたいで
静かな廊下とは対照的に、ごちゃっとしたギターやベースの音が聞こえる。
きっと、ギター部かなんかが練習しているんだろうな。
何かのメロディーが奏でられているわけでもなく、無秩序に聞こえてくる音によって
この扉を開けたら優くんに会える、そう思ってドキドキとする心臓の音は、あまり聞こえなかった。
私は、3052教室の扉に手をかけ、それをゆっくりと開けた。
スローモーションみたく、だんたんと私の視界に優くんが入ってくる。
一昨日ぶり、たかが1日ちょっと会っていなかっただけなのに
優くんの姿が見えた瞬間、さっきまで聞こえていたギターやベースの音を含め
周りの音は何も聞こえなくなった。
「陽菜ちゃん。」

