「えっ、あの…!」

ガチャンと切られてしまった後に流れたのは、規則正しい通話音だった。

「間違いって…」

要は別の小泉修哉さんにかけたつもりが間違って小泉修哉さんに…って、あれ?

相手は小泉修哉さんにかけたつもりがこっちの小泉修哉さんに…あれれ、どうなっているんだ?

と言うか、同じ名前の人って存在するのか…って、字は違うかも知れないけど存在すると言えば存在するよね、うん。

それよりも、
「――副社長って…」

もちろん、間違い…なのかも知れないけれど、それが妙にあたしの心に引っかかった。

修哉さんの職業はサラリーマンだと言うことを最初に聞いたけど、どこで働いているのかとか何をしているのかとかそう言う細かいことを知らないことにあたしは気づいた。