メリーゴーランドに乗ったと言う訳じゃないのに、あたしは自分の目が回ってきていることに気づいた。

心臓もドキドキと鳴っていて、うるさいくらいだ。

繋がれている手を通じて、このドキドキと言う音が伝わっていたらどうしよう…。

「ほのかちゃん?」

あたしの名前を呼んだだけなのに、心臓がまたドキッ…と鳴った。

「い、行きましょうか!」

この音を修哉さんに知られたくなくて、あたしは大きな声で返事をした。

「さ、今日は子供のように楽しみましょう!」

そう言ってメリーゴーランドの方へ足を向かわせたあたしに、
「俺が言ったこと、そのまんまなんだけど…」

苦笑いをしながら呟いた修哉さんの声は聞こえなかったと言うことにした。