最後の瞬間まで、きみと笑っていたいから。


「ちょ、ちょっと笑いすぎだよ……」


一応言ってはみたけれど、ダメだった。


多賀宮くんはおなかを抱えてヒーヒーと笑った。


「お前、忠犬アミ公って感じだもんな……!」

「アミ公って……」

「最初から思ってたんだよな、猫じゃなくて、犬だって! 主人の帰りを待つ忠犬アミ公だ!」


多賀宮くんは笑うけど、私には忠犬という立場は実に魅力的な気がした。


だって待っていい立場なんでしょう?

そして主人は、多賀宮くんなんでしょう?


聞きたかったけど、やめておいた。


多くを望むにはまだ早すぎる。


だって私は今ようやく、彼への恋心を自覚したばかりなんだから。