「あっ、あのね。これ、やっぱり私、多賀宮くんと一緒に行きたいっ!」
チケットを彼に向かって差し出した。
「は?」
「トワイライトだから、夜だし。時間も短いから疲れないよ。どうかな。夜でも無理?」
「……」
多賀宮くんは、真顔でじっと私を見下ろす。
数秒して、ふっと、力が抜けたような優しい顔になった。
「どうした急に。俺が言いたいこと言えって言ったからか」
「そっ、そうだよ、そうなの、だから……勇気を振り絞ってみたんだけど、どうかな……」
「なんかズリィ言い方」
クッと喉を鳴らして多賀宮くんは笑い、そして私の手から、チケットを一枚引き抜いた。
「わかった」
「いいの?」
彼の返事に、天にも登りそうな気持ちになる。
実際まっすぐ立っていられないくらい、テンションが上がった。

