目当てのDVDはすぐに見つかった。
1週間レンタルだから、今度の水曜日に観ればいい。
「ただいまレンタル1回につきハッピーくじを引いていただけまーす。豪華景品目白押しなのでどうぞー」
カウンターでレンタルの手続きをすると、店員のお姉さんが四角い箱を差し出してきた。
手を入れるところが黒いひらひらで隠されている、典型的なくじ引きの箱だ。
「でも、私くじ運ないからなぁ……」
どうせキャンディ一個とかに決まってるし。
あの、あきらかな参加賞を引いた時の店員さんが醸し出す、微妙に明るいドンマイって空気が、苦手なんだよね……。
すると隣に立っていた多賀宮くんが、
「じゃあ俺が引いてやる。1等の松坂牛狙いだ」
「えっ?」
箱にズボッと手を入れて、あっという間に黄色い三角の紙を引き出した。
そして止める間もなくペリッと剥がして、中に書いてある文字を読みあげる。
「3等……1等じゃないのかよ」
かなり不服そうだ。よっぽどお肉が食べたかったんだな。
でも3等ってなんだろう。

