「今のお前みたいに?」
「今の私みたいに……」
「ふぅん」
歯切れの悪くなる私に、彼は目を細めて何か言いたげに肩をすくめる。
なにその目。まるで私が臆病者だって言いたいみたい。いや、言ってるんだ。私、多賀宮くんに挑発されてるんだ。
「多賀宮くんこそ、今、何か言いたそうじゃない。だけど言わないってことは悪口なの?」
だからつい、ムクれてかわいくないことを言ってしまった。
「言っていいの」
「いいよ、別に。悪口だって正面から受け止めれば悪口かもしれないけど、見方を変えて、多角的に物事を見る訓練になるからね」
そんなこと微塵も思ってないけど、売り言葉に買い言葉だ。
「地味だとかパッとしないとか、ある意味堅実ってことだし、私、とりあえず努力はいやじやないし、地道にコツコツと――」
「お前、かわいいよ」
「……んあっ!?」
変な声が出た。衝撃のあまり、女の子らしくない変な声が出た。多分口、開いてたと思う。

