ダイニングキッチンで夕食を食べている間、両親はリビングでテレビを見ていた。

先にお風呂に入って正解だったな。

向かい合って座って食べたら、目の腫れに気づかれていただろうし。


食事を済ませた後、すぐに自分の部屋へ向かった。

ドアを閉めもう一度スマホを確認しても、光莉からの連絡はない。

柳瀬からもなかった。


ふたりのことだし、予想通り揃って明日、報告してくれるのかもしれないな。

スマホを手にしたままベッドに仰向けに横になった。

電球の灯りが眩しくて、目を細めてしまう。

次第に瞼は重くなっていき閉じていく。


明日……ちゃんと笑って「おめでとう」って言えるかな?

柳瀬と光莉が幸せそうにしているのを見て、泣かずに言えるかな?


私も……笹沼くんも。


どうしても考えてしまうのは、やっぱり笹沼くんのこと。

笹沼くんは今日、自分だって辛いはずなのに私のことを慰めてくれた。


だったら今度は私の番だよね。

ふたりから報告されたら、笹沼くんの分も精一杯「おめでとう」って伝えよう。