半分だけ姿を見せて、ドアの隙間から男を見る。 新しい執事とやらは、私にニコリと笑顔を見せて 「今日からお嬢様の執事をさせていただきます、小室陽向と申します。よろしくお願いいたします。」 と挨拶をした。 その執事の姿に、私は驚いた。 今まで出会ってきた執事とは、何か違うオーラを感じた。 私に向けられた笑顔、かけられた言葉……教えられたことをそのまま言っているような、そんな気がした。 彼には…… “心”というものを、失くしているように感じたの。