「とてもいい天気よ!ねっ!いこ!いこ!」
あまりにも楽しそうに言ってくるお嬢様。
「で、でも、勝手に出ていくというのは……」
「大丈夫よ!お母様に許可をもらいに行きましょ!」
お嬢様は俺の手を引っ張り、部屋から飛び出す。
……手。
お嬢様は、「汚い」って思わないのだろうか。
俺は過去出会ったお嬢様には、『汚い』と言われていたのに……。
『きたなーい』
『あんたが持ってきたやつなんかいらない』
『汚れるでしょ部屋に入ってこないでよ』
『あんたにはその汚い水がお似合いよ!』
『あんたなんかいらない。早く出ていってよ、目障り。』
はっ。
一瞬、過去の出来事を思い出してしまった。
傷ついてなんかいないのに
気にしてなんかいないのに
どうして、たまにこうやって記憶がよみがえってくるのだろう。


