「お料理も、おいしいものばかりだけど、何かが足りないの。」




 何かが足りない?




お嬢様は、やはり悲しそうな表情をしていた。




「でも、その足りないものがわからないのよね。どれもイマイチに思っちゃうの。」




「……そう……ですか」




俺は、返す言葉が見つからなかった。