「陽向!手が止まってる!」




「も、申し訳ありません!」




俺は無意識に止まっていた手に気づき、ゲームを再開する。




「私のお父さん、仕事で海外にいるの。だから、こうやって私と一緒にゲームをしてくれる人がいなかったの。」




お嬢様は、自分のことを話しはじめてくれた。




「……そうだったんですか。前の執事は……」




「前の執事はね!ゲームが下手だったの!その前の執事も、その前の前の執事も!」




お嬢様のゲームの操作はとても上手。




だから、自分よりも下手な人は不愉快だったのかと考えていると、




「まぁでも、ゲームが下手なくらい、別にいいんだけどね。」




違ったようだった。




お嬢様の考えは、俺が今まで出会ってきたお嬢様の考えと全然違っていて、調子が狂ってしまう。