「そうなのですね。」
こうやってお嬢様と普通に会話をするなんて今までなかった。
しかもゲームをしながらなんて。
「陽向は、私の歳で何してたの?」
お嬢様の質問は続く。
「16歳の時は……執事として働きに出た歳です。」
「16で!?私の今の歳で!?」
お嬢様はものすごく驚いたようで、俺の方に勢いよく顔を向けた。
「あ!危ない……」
そして、そう言ってお嬢様はまたゲームの画面に視線を戻す。
「ちょうどお嬢様の歳で執事になったんです。」
「そうなのね……今の、私の歳で……。陽向、すごいのね」
お嬢様の一言で、俺のゲームをする手が止まった。
すごい?
俺が?
そんなこと、言われたことなかった。
そんな言葉、慣れていない。


