遠回りをして、彼女たちを避けて最寄り駅へと向かった。

自然と早足になるのは、まだわたしが彼女たちと向き合えない証拠だろう。

素直に、「やめて」と、別に怒らなくたっていいのだから、言えたら。

「その言葉は嫌だ」と、言ったら彼女たちだって分かってくれるはずなのに。

彼女たちが話を聞いてくれないわけじゃないくせに、ただわたしが弱虫なだけなのに。

少しでも関係が変わってしまう可能性を、恐れて逃げて、結局彼女たちからも逃げて。


…臆病者。



集合場所にはやっぱりまだ将太さんはいなくて、近くのベンチに腰掛けてまとめノートを開く。

特に危ない看護技術の方を開いて、今どのくらい解けるのか、小さな声で確認していく。

ワークシートだけじゃなくて、手順の方も読まないとなぁ…。

ますますピンチだと分かり、また問題を指でなぞっていく。


ふとため息をこぼして、また問題と向き合うと、

「おや、早いですね」

聞き慣れた声が上から降ってきた。