わたしは「あの、」と小さな声で将太さんに呼びかけた。
将太さんはコテンと軽く首を傾げてみせた。
「日曜日、少しでいいんで、その友人のあとをつけるのに付き合ってくれませんか?」
わたしの提案に、将太さんは「え、」と驚きの声を上げる。
そりゃそうだろう。
連絡を取り合うことから何があって後をつけようと言い出したのか。
「…あの、○○駅なんですけど、大丈夫ですか…?」
確かもともと日曜日に会おうかという話はしていたから、予定はないはずだ。
問題は、将太さんが○⭕駅までついてきてくれるかどうか。
ここからそう遠くはないけれど、知らないわたしと遠出はあまりしたくないだろうな。
…それでも、ついてきてくれるかもしれないことを期待して将太さんを見つめた。
すっかり困ってしまった将太さんは、わたしから目をそらして何か考えている。
わたし、将太さんのこと困らせてばかりだなぁ。


