宛先は天国ですか?




将太さんは困った顔をして、それから少し考え込んだ。

わたしから目をそらしうーんと考えるその姿も、なんとなく愛らしい。


「そうですね、高校卒業してからになりますから…。

今年で9年目になりますかね」

将太さんが郵便局員になって今年で9年目、わたしが誰かと文通を始めたのも今年で9年目。

高校卒業してからということは、将太さんは今年で28歳になるのかな。

それにしては若い容姿に少し納得がいかないが、手紙の人が将太さんである可能性が大きくなり嬉しくなる。


「長いんですね」

会話を続けようとふと口にすると、将太さんは「そんなことないですよ」と遠慮気味にいった。

「私より長い人はいくらでもいますから、私なんてまだまだですよ」

ふふっと笑った将太さんに、わたしはそうですかと笑いかけた。


…今の流れで、聞いてしまおう。


キュッと拳を握りしめて、将太さんの目を見た。

それから、

「ずっと気になってたんですけど、お手紙の返事を書いてくださっているのは将太さんですか?」

唐突に、率直に、将太さんに質問を投げかけた。