宛先は天国ですか?




抱き合って、泣き合って、一体どのくらい経っただろうか。

もう人の目なんて気にならなくて、街の中でただただ泣いていた。


しばらくして、2人ともなんとか涙が止まって、いつもわたしが座っている場所に、2人揃って腰掛けた。

「この手紙、どうしましょうか」

まだ赤い目でわたしに、将太さんは手紙を見せながら尋ねた。

どうしようもないであろうその手紙を、捨てようかと呟いている。


捨ててしまうなんて、もったいない気がした。

捨ててしまうくらいなら、祖母の言った戯言も信じてみたい気がした。

わたしの両親が亡くなった時、年上のいとこが棺に入れた手紙のこと。

わたしはそれどころじゃなかったから、だいぶんと経ってからその行動について尋ねたことがあった。

火葬場でも、同じようなことを言っていた。

煙は空へと昇っていくから、天国とつながっているからって。


「ねえ、将太さん、その手紙、捨ててしまうなら一つ提案があるの」

さり気なく手紙を持つ将太さんの手に、自分の手を添えた。