「その手紙の差出人の住所が、病院の住所になっていて、そこに会いに行ったんです。
一昨日、ちょうど、将太さんに会いたいと言った、ほんの数時間前のことです」
あのメールを送ったのはまだ向こうにいるときで、適当な場所で食事しながらずっと考えていて、その上で結論を出してメールした。
ほんの数時間というけれど、実際は1時間くらいしか経っていなかっただろう。
伝えるべきなのだと思った。
だって、一度は愛した人で、高校で良くしていた後輩だ。
伝えた上でどうするのか、それは将太さんが決めるとして、わたしは隠したくなかった。
将太さんがごくんと唾を飲んだ。
それを見て、わたしはギュッと拳を握りしめる。
「…会えませんでした」
なんとか、震える声で言葉を紡ぎ出す。
誰かに人の死を告げることが、こんなにも心苦しいことなのか。
一昨日わたしに早野先生のことを告げてくれた看護師さんもこんな気持ちだったのか。
目の前にいる人の顔がみるみる暗くなっていくのを見ることが、こんなにも辛いことなのか。


