早野先生宛てだから、わざわざわたしと出しに行こうと思ったのだろうか。
元カノとこそこそ隠れて文通するよりは、その方がいいと思ったのだろう。
それはいかにも将太さんが考えそうなことであった。
見せられた手紙の宛先には、おそらく早野先生の住んでいた場所の住所が書かれていた。
昔授業中に、一人暮らしだと言っていたことがあった。
きっと、この手紙は、早野先生の両親にすら届いてくれない。
でもわたしには、早野先生の実家の住所なんて分からない。
それはおそらく、将太さんもそうで。
「ねえ、将太さん、言わなきゃいけないことがあるの」
早野先生には手紙で口止めされたけれど、やはり言わないわけにもいかなかった。
信じてもらえるだろうか。
持ってきていた手紙を取り出して、将太さんへと渡した。
「これが、早野先生から届いた、わたし宛ての最初で最後の手紙」
意を決して、将太さんに手紙を読んでもらうことにした。


