家について着物から着替えてから、何も言わなかった祖父が口を開いた。
「のの、彼のことを悪く言うわけではないが、大人を簡単に信用するな」
お前はまったくと、呆れた口調でそう言われてしまう。
確かにその通りなので反論するわけにもいかず、わたしは肩をすくめる。
彼のことを悪く言うわけではないってわざわざ言ってるくらいだし、将太さんのことを否定されたわけじゃない。
それは嬉しいけど、完璧に、こうして付き合うまでの過程に文句を言っているのだろう。
わたしがホイホイとついていったりしたことに。
「…ごめんなさい」
謝ってから、リビングを出て自室へと戻る。
将太さんのことは反対されてなくても少しだけ悲しくて、ベッドに飛び込んだ。
その瞬間、チカッと近くにあったスマホの電源がついた。