宛先は天国ですか?




なにより将太さんからのプレゼントなんだから、意地でも使うけど。

「それに、」

マジマジとピン留めを見つめていたわたしに、将太さんがそう付け足す。

それから恥ずかしそうにわたしからサッと目をそらした。

「それ、暖々さんに似合うと思いまして」

優しく笑いながら、でも目はそらしたままの将太さんに、ドキッとした。

…こんな可愛らしいピンがわたしに似合う、と?

それは今着物を着ているからそう感じるだけなのかもしれないが、それでも嬉しかった。

頬が緩んで、自然と笑みがこぼれ落ちる。

「ありがとう、ございます」

えへへと照れ笑いをしながらなんとかお礼を言うと、将太さんはちらっとわたしを見た。

それからまた、ふわりと優しい笑みを浮かべる。


「そろそろ帰るぞ」

祖父の一声で、完全に浸りきってた世界から一気に連れ戻される。

そうか、そろそろ帰らないと。

将太さんと全然一緒にいられなかった気もするが、仕方ないといえば仕方ないのか。

少し寂しく思いながらも、車に乗り込みいつもの場所で降ろしてもらった。