宛先は天国ですか?




お参りをして、それから店の並んでる方に出たときだった。


「のの、おばあちゃんと2人でお茶でもしてきなさい」

祖父が、将太さんの隣に並ぶわたしを真っ直ぐ見てそう言ったのは。

将太さんの方は一切見ず、わたしだけを見据える目に、わたしは少したじろいだ。

「え、おばあちゃんと2人で…?」

ちらっと将太さんに目をやると、将太さんはわたしの視線に気付きコテンと首を傾げた。


祖父が軽く、咳払いをする。

「彼と少し話がしたいんだ、2人でな」

もう一度将太さんを見ると、将太さんは納得したような顔をしている。

…わたしは納得いかないんだけど。

でも、とせがむ前に、将太さんはまたわたしの視線に気付いて今度は微笑んだ。


「分かりました」

繋いでいた手をするりと離して、将太さんはわたしの肩を軽く叩いた。

祖母のところに行けという合図なのだろう。

相変わらず納得がいかず頬を膨らましたまま、わたしは祖母の方へと行く。

わたしの入れ替わりに祖父が将太さんの方へと向かった。


「それじゃあ、ののちゃん行きましょうか。

おじいさん、またあとで、ここで待ち合わせましょう」