宛先は天国ですか?




あははと笑った将太さんに、わたしも思わずくすっと笑みをこぼす。

「確かに、逆に目立ちますよね」

くすくすと笑っていると、将太さんが隣で「笑い事じゃないですよ」と言って頬を膨らました。

「それなら私も、着物着てこれば良かったですね」

失敗した、とため息をこぼした将太さんに、わたしはまた笑う。


それから、隣でしっかりとハンドルを握る将太さんを見て、

「でも、確かに将太さんが着物を着ているところは見てみたいですけど…。

私服でも十分、似合ってますよ」

ニコリと微笑んで、そう告げる。

将太さんは一瞬横目でわたしを見たあと、すっと目をそらしてまた前を向いた。

心なしか、その頬は先程よりも赤いような気がした。


「来年はレンタルでもしましょうかね」

「ふふっ、楽しみにしてますね」

2人で小さく笑い合っていると、後部座席で祖母がニコニコと笑っていた。

祖父は相変わらず外を眺めていて、こちらを向こうとはしなかった。

…なんだか、祖父は将太さんのこと認めてくれていないみたいだ。