宛先は天国ですか?




将太さんの答えに、祖父はますます怪訝な顔をする。

何か疑うように、厳しい目で将太さんを見回す。


「…ふむ、そうか」

それきり、祖父は何も言わず、ただただ厳しい目で将太さんを見ていた。


「じ、じゃあそろそろ行こうか!」

気まずくなる前にわたしが提案すると、将太さんはコクンと頷いた。


祖母に言われ、わたしは助手席の方に座ることになった。

隣の運転席には将太さんがいて、ハンドルを握っている。

車を運転してるところは見たことないから、ハンドルを握ってるだけでも格好いい。


これだけ近い位置にいるだけでもドキドキするのに、将太さんが格好良くてますますドキドキとする。

何か話さなきゃいけない気がするのに、なかなかうまく話せない。


「暖々さんは、初詣に着物を着て行くんですね」

不意に将太さんに声をかけられ、「え」と声を上げる。

「あ、うん、え、似合わない…ですか?」

慌てて聞いてみると、

「いいえ、似合ってますよ」

前を向いたままふわりと笑った。