宛先は天国ですか?




集合場所に行くと、もうすでに将太さんが待っていた。

将太さんは暖かそうなコートを着ていて、その下に白いセーターを身につけていた。

きっちりとした格好で、わたしに気付くとニコリと笑いかけて駆け寄ってくる。

それから祖父母の方を見て、軽くペコリと頭を下げた。


「…えっと、彼氏の…将太さんです」

祖父母に紹介をする。

名字から言いたかったのだが、名字はなんだったか、失礼ながら忘れてしまった。


わたしの紹介を受けて、将太さんはまたわたしの祖父母に頭を下げた。

「暖々さんとお付き合いさせていただいてます、中野 将太です」

礼儀正しく挨拶をした将太さんに、祖母は笑いながら「よろしくねぇ」と言った。

祖父はまじまじと将太さんの顔を眺めている。


「失礼だけど、年はいくつかね?」

顔からして明らかに高校生ではないためか、祖父はじーっと将太さんを見ながら尋ねた。

「えっと…、28歳です」

少し戸惑いながら、将太さんはそう答えた。