宛先は天国ですか?




当日、毎年のように祖母に着物を着せてもらう。

高校生になって成長したからと、冬休みが始まってすぐに祖母が買ってくれたものだ。

絶対わたしに似合うからといって買ってくれた振袖。

薄紫色の下地にたくさんの花が描かれた華やかな着物である。


着せてもらって、鏡の前で何度も見直す。

髪型もセットしてもらったわけだけど、本当にわたしに似合っているのか。

なんだかとても心配である。

それも将太さんに会うものだから、すごく緊張する。

似合わなかったらどうしようと、すごく心配になる。


「さて、そろそろ行こうかね」

祖母に声をかけられて、わたしは靴を履いて家を出る。

いつもなら電車か祖父の運転なのだが、今日は将太さんが運転してくれるという。

今まで将太さんと車で出かけたことがなかったから、まさか運転できるとは。

…でもまあ今の世の中、免許とらない人はなかなかいないよね。

…楽しみ。